読んだら寝る

好きな作家、本、マンガについて紹介

王ドロボウJINGの思い出

小学生の頃に買っていた少年誌はコロコロコミックスだったんですが、不思議と各連載マンガの単行本はあまり買っていませんでした。本誌も取っておいてあるのであまり必要性を感じなかったのかもしれません。代わりに買っていたのは従兄に薦められたコミック…

甘くてビターなデザートてんこ盛り。〜米澤穂信さんの「小市民シリーズ」

社内試験的な行事が刻一刻と迫っています。暗記しないといけない資料が多数あり、正直かなり面倒なのですが、いい歳して久々にテストされるというレアな経験に学生時代が思い出させれます。学生時代は勉強はやや頑張っていたのでテスト自体は嫌いじゃなかっ…

セカイ系✕ミステリー✕異世界転生〜名倉編さんの「異セカイ系」

メフィスト賞作品本日2冊目です。「スイッチ 悪意の実験」はちょっとパン屋さんが可哀想だったので、あらすじ的にも表紙的にもハッピーエンド感があった名倉編さんの「異セカイ系」を読みました。この後は「人間に向いてない」「火蛾」を読む予定なのでちょ…

「純粋な悪」は存在するのか?潮谷験さんの「スイッチ 悪意の実験」

年末年始休暇、最高ですね。あまりに最高すぎて職場に来ています。弊社には色々な施設があるので、その保全やら点検やらで待機する人が(不運な数名)存在するためです。と言ってもやることは無いので、何ヶ月か前のセールで纏めて買って積読していたメフィ…

あぁ無情な属人化よ。グレゴリウス山田さんの「竜と勇者と配達人」

仕事をする上で気になるのはタスクと能力の差です。優秀な人間がスーパー単純作業してたり、ノリと勢いで生きている人間に熟慮が必要な判断をさせていたりすると、もっと適材適所って無いんかい…なんて思ったりします。また、熟練パートのあの人しかできない…

京極堂シリーズ、17年ぶりの新刊「鵼の碑」レビュー

先日、アーマードコア最新作が出たという日、プレイしたことの無い私は、「へー昔従兄弟がやってたやつだー。」くらいの感想しか抱きませんでした。ちょっと前にロックマンエグゼのコンプリート版みたいなやつがスイッチで出たときは狂喜乱舞したんですが。 …

私の推しのおっさん【島田さん】〜3月のライオンより

徹夜の仕事明けでめちゃくちゃ眠いです。そんな中でも楽しみにして仕方がなかったのは3月のライオン最新刊です。なんかやたらと激務のさなかに生じた休み1日。その貴重な休日は3月のライオンの最新刊を読むことから始まりました。 3月のライオン 17 (ヤン…

ENEOS ON THE WAY COMEDY 道草と木皿泉さん達の「すいか」の話

夏が来ると思い出すのは、中学の頃に買ってもらったCDラジカセです。当時ドラゴン桜が流行っていて、ビートルズを聴いて意味を理解できれば英語の点が伸びるとかで、CDラジカセと一緒にビートルズのアルバムを親に買ってもらいました。ビートルズ自体は良く…

弾、服、飯、酒、金、大事なものは全て兵站〜速水螺旋人さんの「大砲とスタンプ」

つい先日3年ぶりくらいに、平野耕太先生の「ドリフターズ」の新刊が出ました。 ドリフターズ(7) (ヤングキングコミックス) 作者:平野耕太 少年画報社 Amazon 何年ぶりに出ても楽しく読めるのは流石の一言ではあるのですが、その中でも特にキャラが立ち始めた…

何がなんだかわからない〜小川洋子さんのフェチズムの世界

基本的に疲れているか疲れる前かの2択みたいな生活をしています。今は少し落ち着いていて、疲れるためのアップみたいな状態です。少しは読書をする余裕も出てきました。こういうちょっと前まで戦場にいました、みたいなメンタルのときには断食後のおかゆみ…

非日常の中の日常〜宮野優さんの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」

最近忙しくていまいちダラダラできていません。半年くらい会社の中で割りと専門的な研修を受ける機会に恵まれた代わりに多忙な毎日を送っているためです。ただそろそろ1ヶ月くらい経とうとしていて、慣れてきた感じはあります。何が言いたいかと言いますと、…

嘘を吐くならこんな風に〜田中現兔さんの「嘘つきユリコの栄光」

人の顔色を伺って咄嗟に嘘が出るタイプです。バレたとき一番信用を無くすやつです。嘘も方便だと思っていて、誰も不幸になってないならいいやと考えたりします。ただ良くない癖だとは思っているのでちゃんと意識して直していきたい所存です。一番最近ついた…

「正義は人間に支配されている」とゴリラは言った〜須藤古都離さんの「ゴリラ裁判の日」

3月、出会いと別れの季節ですね。異動の為の引っ越し準備も自分の業務の引き継ぎ作成も次の業務の準備も全て終わってなくていい加減気が狂いそう。田舎に戻って高崎山のサル達と露天風呂に入っていたいと感じる今日このごろです。田舎で温泉にでも浸かりたい…

言祝ぐSF〜鶴淵けんじさんの「峠鬼」

新年になって色々な神社を詣でると様々な祭神の解説があったりと楽しいですね。多神教というとギリシャ神話や北欧神話が浮かびますが、日本の八百万の神々もそれに負けず劣らず魅力的です。日本においては仏教の伝来とともに一時期は勢力が弱まったり、逆に…

やり直しされたくない人生〜六内円栄さんの「Thisコミュニケーション」

人生をやり直したいと思う瞬間は多々あります。私の場合、ここ数年の仕事上の成果の集大成を100人規模の前で発表しなければならないプレッシャーとそんな大舞台の直前にコロナに罹ってしまった事実に打ちひしがれているところです。発表相手が友人なら気楽な…

竹田人造さんの「AI法廷のハッカー弁護士」〜5年ぶりに逆転裁判の新作が出てた。

人がやってるのを見るのは良いが、自分がやるのは御免だというものが世の中には多々ありますが、私の場合は裁判です。何故なら恐らく訴えられる側しか想像できないからです。訴えられるというのは恐らく親権が取られることを意味している気がします。それは…

浅見ヒッポさんのみなそこに澄む世界〜川に飛び込むタイプの田舎の思い出

日本の人口は特定の都市に集中しているので、大きく分けると田舎に住んでいる人と都会に住んでいる人に区分できます。 そうなると少年時代の過ごし方としては、都会から田舎に転校してきて馴染めないでいるうらなりの男の子とそんな彼に苛立ちを感じつつ、度…

忍び寄る不穏、熊倉献さんのブランクスペース

辛さを抱えると書いて辛抱。お元気ですか?最近良いことありましたか?私はZoomを使えずマイクロソフトのTeamsを使う上司とZoomを使える上司の間に挟まれていたところ、連日のTeamsの障害でようやくZoomに統一された、というのが最近あった良かったことです…

裁くのは「ぼく」。お前の罪を「ぼく」が量る〜辻村深月さんのぼくのメジャースプーン

少し前Twitterに富樫先生が降臨され、最近もHUNTER×HUNTERの進捗についてガンガンTweetされており嬉しい限りですね。連載再開が待ち遠しいです。HUNTER×HUNTERといえば、多感な時期に読んだ方は水見式をやってみたり、自分がどんな念能力を手に入れるか妄想…

或る夏の日の不穏な恋愛〜シギサワカヤさんのヴァーチャル・レッド

今月私が力を入れてやっていたことは、物理的にも精神的にもアクリルを切っては接着し、ちょっとした器材を作るといった作業でした。 アクリサンデー アクリサンデーカッター 131254 アクリサンデー(Acrysunday) Amazon アクリルカッター。こういうので何度…

堂々とやりたい権力闘争〜秋目人さんの騙王シリーズ

それにしても金が欲しい。皆様こんにちは。 賭博破戒録カイジより。 お金欲しいですか?私は欲しくて仕方がないです。私の亡くなったお祖父ちゃんも「金は寂しがり屋なんじゃ!集めれば集めるほど寂しくてもっと増えるんじゃ!」と常々言っていました。しか…

ファンタジー小説を読みたい!〜高里椎奈さんのフェンネル大陸シリーズ

ファイアーエムブレムシリーズやタクティクスオウガシリーズなどのユニットを動かして戦うシミュレーションゲームの面白い所は、育てたユニットで巧く戦闘に勝つ楽しさと、自らの行動が物語世界の歴史に影響を与える点だと思っています。そういう意味では最…

青春とは個人差?〜堀田きいちさんの「君と僕。」完結に寄せて

夏、長いですね。結構前に夏といえばロケットと死体探し、なんて言ってた時にはまぁすぐに秋になるだろうとたかをくくっていたんですが、まだまだ夏の六合目みたいな雰囲気です。 夏というと思い出されるのが、夕方に涼しい部屋から3駅離れた高校に行き、日…

研究者になろう!〜喜嶋先生の静かな世界

以前、弊ブログにおいて、京極夏彦さんのどすこいを紹介しました。文系の極みの様な大御所ミステリー作家を捕まえて何故代表作である京極堂シリーズではなく、力士が暴れる珍短編集を扱ったのかは過去の記事を参照していただくとして、その過去記事でも若干…

終末だからこそ殺人は起こるのか?物理の北山猛邦さん

もし世界が終わるなら何をするか?と言われるとまぁ終わるまでの時間にもよると思いますが、おそらく混乱を避けて家でゆっくりすると思います。できれば一年くらいで混乱も収まって前と同じ生活ができればいいですね。科学技術の発展を盲目的に信じているの…

エロ・グロ・ナンセンスにジュブナイル。何でもありの魅力〜道満晴明

2022年7月20日に道満晴明さんの最新作、「ビバリウムで朝食を」が発売されました。折角なので最新作の発売に合わせて大好きな漫画家、道満晴明さんの紹介をしたいと思います。 ビバリウムで朝食を 1 (1) (チャンピオンREDコミックス) 作者:道満晴明 秋田書店…

どすこいから始める京極夏彦

海外の実験で817ページのペーパーバックが小銃の銃弾を止めたらしいです。止めたと言っても穴は空いてしまったので、懐に入れていても人体にダメージはありそうなレベルですが。ちなみに小銃というのはいわゆる警官の方が持っている拳銃と違って各国の軍隊が…

解決じゃなくて解釈のミステリ。倉知淳さん

ミステリにも様々な種類がありますが、一番共感できるミステリとは何でしょうか?日本はかなり平和な国なのでそもそも殺人事件が滅多に起きない上に警察による検挙率も高くすぐに解決に至ります。そうなると頻繁に殺人事件が起きて、その事件が密室殺人でつ…

ゆる平安、ゆる青春、ちょっとダーク。D・キッサンさん

平安時代はお好きですか?平安時代というとゆったりと日本の文化が花開き徐々に平家と源氏の戦乱に向かうという中々にドラマチックな時代です。 ただ、今から1200年近く前なのでイメージが湧きづらい時代でもあります。源氏物語、枕草子、十二単くらいがなん…

怖いのはノンフィクション。フェイクと言ってくれ、「忌録」

夏ですね。台風が通り過ぎたおかげで少しだけ涼しい日がありましたがもう酷暑が基本みたいになってますね。そろそろ涼が欲しいところです。先日好きなラジオ番組であるYou Tubeチャンネルが紹介されたので見てみました。フェイクドキュメンタリーQというチャ…