夏ですね。台風が通り過ぎたおかげで少しだけ涼しい日がありましたがもう酷暑が基本みたいになってますね。そろそろ涼が欲しいところです。先日好きなラジオ番組であるYou Tubeチャンネルが紹介されたので見てみました。フェイクドキュメンタリーQというチャンネルです。このチャンネルは様々な怪奇現象や不気味な出来事が起こる様をドキュメンタリータッチの番組として表現しています。フェイクと言いつつドキュメンタリータッチなのでかなり真に迫っていて怖いです。こういったドキュメンタリータッチが強いのは、現実にあるかもしれないと思わせてくるところですね。結局、自分の身に降りかからない恐怖って他人事なのであんまり実感が湧かないじゃないですか?
ところで、怖い話といえば最近こんな本を読みました。
この本は、近年の主だった都市伝説をまとめた本です。これを読むと多くの都市伝説は2ちゃんねる(当時)の「死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?」所謂洒落怖と呼ばれるスレッド発祥のものが多いようです。八尺様とかくねくねとか姦々蛇羅とかかなり有名になりました。しかしどうでしょう。どうしても今読むと作り話臭く感じられませんか?それは恐らく随分と時代が過ぎて有名になったことと、怪異のキャラクターが個性的すぎて身の回りの出来事との乖離が著しいためではないでしょうか?今更口裂け女が居ると思えないのと同じです。ただこういうのが嫌いかというと大好きなので今後も様々な怪異の話を読みたいところですが。
怪異側のキャラクターではなく、登場人物側のキャラクターが立っている話も好きです。しかし、フィクション性と恐怖の両立は難しいものです。師匠シリーズとかキャラクターが立っていて大好きなんですが、どうしても怖さよりワクワクのほうが勝ってしまいます。
師匠シリーズ。怪異への対応が得意な先輩に師事する話。
つまりは、元の話に戻りますが、時代による変化が起きづらい分、ドキュメンタリーひいてはノンフィクションのような話は怖さの鮮度が落ちなくて良いんです。
ずっと気味悪いなぁという冷やっとした気分をキープできる保冷剤のような本が有るといいのにと思う方に向けて今回紹介したいのが亜澄思惟さんの忌録です。
これは忌まわしい記録、つまり忌録と題されている通り、小説ではなくて複数のドキュメント集になります。
大きく4つの話が収録されており、どんな内容かというと
「みさき」
周囲が水のお堀で囲われた公園で、親が出入り口の橋付近にいたにも関わらず、忽然と消えた娘吉野美咲ちゃんの調査結果
「光子菩薩」
見ると目を抉らなければ正気を保てないという光子菩薩の御札の調査・実験結果。
「忌避(仮)」
沖縄のある幽霊騒動があった屋敷での調査結果
「綾のーと」
新生活を始めた女の子の身の回りで起きた不可解な出来事と徐々に彼女自身がおかしくなっていく様を彼女が新生活を期に始めたブログをまとめた調査結果
どれも「これフィクションでいいんですよね?」と確認したくなるほど不気味です。しかしこの本の冒頭では、「本書は、著者が二〇〇六年から二〇一二年までの間に収集した四つの事件の記録資料を、権利者の許可を得て公開するものです。」との文言が。せめてフェイクドキュメンタリーQの様にフェイクと言ってくれ。
嘘だと言ってよバーニィ。
どの話も、新聞記事、インタビュー、手記、ブログ等あくまで記録という体裁を取っている分、悪質なまでに事実に見えます。創作だと解っているのですが、怖すぎるのでそんなに作り込まないで欲しいところです。
そんなに作り込まないで欲しい例。行方不明の貼り紙。他にも新聞記事のやけにリアルな体裁もやめてほしいですね。
こんなにリアルな演出が入るので、こんなこのが自分にもいつか降りかかるのではないかという想像力が逞しくなること請負です。この紹介記事を書くために夜中に読み直しましたが無駄に鳥肌が立ったのと部屋の外の異音に大声を上げるところでした。
暑い日が続きますが、涼しくなりたい方、怖さに飢えている方、ノンフィクションホラーどうでしょうか?